ヨームゲン宿


「あ、リタおかえりなさい」
「ただいま。まだ寝てなかったの」
「リタ姉を待っていたのじゃ!」

横で話を聞いていてたカロルはどう声を掛けたものかと思案していた。エステル、リタ、パティ、と女子たちがきゃいきゃいしているのを邪魔するのが憚られたからだ。しかし、カロルの後ろから声が上がった。

「話は聞けたのか」

ユーリは空気を読まずに、直球で尋ねる。カロルは思わずユーリを振り返った。
リタは彼の顔を見て、しばらく間を空けて口を開いた。

「…あんまり収穫はなかったわ。あいつの持ってる剣のこととか。でも、知ってるのかもね」
「急に母さんが別行動つったの、そういうことかよ」
「みたいね」

横一列に並んだベッドの空いた所、どすんとリタは腰かけた。左奥からレイヴン、ユーリカロル、空きが一つ。掛け布団が動かされた跡があったので、そこがジュディスのベッドなのだろう。そしてリタ、エステルパティとなっている。
ユーリとリタの間に挟まれたカロルが二人の顔を交互に見て、会話以上の説明がないことを悟り、尋ねた。

「え?、と…どういうこと!?」
「これだけの人数で聞かれたら、躱せない、ってことだろ」
「先に聞いておけば良かったです?」

エステルの質問に、やはりリタは少し間を空けた。

「…どうせ言わないでしょ」
「どうかな。母さん押しに弱いから」
「わふっ」
「もっと早く言いなさいよ!

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