演習場
「ファイアーボール!!」
詠唱の後、彼の放った炎はヘロヘロと迷走し、力無く消えた。
「シュヴァーン…」
アレクセイは呆れたような怒ったような、恐らく両方が入り混じった表情でシュヴァーンを見た。
「これは、初級魔術だぞ…何が難しいんだ」
「すみません、」
シュヴァーンは力無く項垂れた。いくら剣術が出来ても魔術が使えなければ戦場には出せない。治療術、魔術、剣術全てができていることが最低条件だ。それがこの隊の絶対ルール。勿論全てに秀でている必要は無い。だがある程度自分で出来なければ、戦場ではどうしようもない。いつも助けてもらえるわけではないからだ。
「今日はここまでだ。ゆっくり休みなさい」
「はい…」
アレクセイは自分の仕事もあるだろうのに、毎日練習に付き合っている。元々面倒見は良いので、魔術を見てやることに対して嫌だと言う事はない。それも今日で1週間と4日になる。練習を始めてから全く進歩がないとなれば、いくらアレクセイでも嫌気がさしてくる。教え甲斐のない生徒というやつだ。
「はぁ、なんで真っ直ぐ飛ばないんだろう」
小石をけ飛ばし、ぼやく。
「…ウィンドカッター」
そう呟くと、ひゅん、と空気を切り裂いた。
「あの人の使う魔術なら、…俺も使えるかもしれないのに…」
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